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リーブオン化粧品(洗い流さない基礎化粧品)は、「しっとり」や「さっぱり」といった、使用時の感触(テクスチャー)が重要視されています。
原料として使用される糖アルコールのなかでも、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、エリスリトールの使い分けにより、リーブオン化粧品のテクスチャーコントロールが期待される研究成果が創出されました1)。
1)H.Nishio and Y. Kimura, J. Soc. Cosmet. Chem. Jpn., 2023, 57(2): 141-151
実験データ
【試験方法】
油分や界面活性剤を含まない、シンプルな水系処方のモデル化粧水を用い(表1)、20-30代の男女計8名でグリセリン処方(比較対象)を4点とした、7段階による相対評価を実施した。
比較対象として、今回評価を実施した単糖の糖アルコール(ソルビトール、キシリトール、マンニトール、エリスリトール)と化学構造の近いグリセリンを用いた。
【表1】 モデル化粧水の配合
【結果】
1.グリセリン処方と類似のテクスチャーと、そうではないテクスチャーに分けられる。
2.糖アルコール間の比較では、大きく以下の3つのテクスチャーに分けられる。
【しっとり】:ソルビトール
しっとり系のテクスチャーには、「ソルビトール」がオススメです。図1のレーダーチャートは、グリセリンとソルビトールを用いて官能試験を実施した結果です。
レーダーチャートの形を見てわかる通り、ソルビトールはグリセリンのような、しっとり系のテクスチャーといえます。
一方、グリセリンとの相違点は以下の通りです。
・乾き間際のブレーキ感がグリセリンよりも強く
・乾いた後のべたつきが、グリセリンよりも小さい
【図1】ソルビトール処方のテクスチャー
※1・・・化粧水を塗布し、塗り込み時の乾燥間際の摩擦力を意味する ※2・・・点数が低い方がべたつきが多いことを意味する【ややしっとり】:キシリトール
ややしっとり系のテクスチャーには、「キシリトール」がオススメです。図2のレーダーチャートは、グリセリンとキシリトールを用いて官能試験を実施した結果です。
レーダーチャートの形もグリセリンに類似しており、しっとり系のテクスチャーといえます。
同じくしっとり系のテクスチャーで推奨されるソルビトールとの違いは、乾燥後のべたつきが少ないという点が最大の特徴です。
【図2】キシリトール処方のテクスチャー
※3・・・点数が低い方がべたつきが多いことを意味する
【さっぱり】:エリスリトール、マンニトール
さっぱり系のテクスチャーには、「エリスリトール」と「マンニトール」がオススメです。図3のレーダーチャートは、グリセリンとエリスリトール、マンニトールを用いて官能試験を実施した結果です。
従来、糖アルコールは保湿剤(=しっとり)としてのイメージが大きいですが、レーダーチャートを見てもわかる通り、これまでにないテクスチャーとなっています。最大のテクスチャーの特徴として、乾燥後のさっぱり感が挙げられます。
このさっぱり系なテクスチャーを活かした、湿度の高い梅雨や夏の商品設計におすすめの原料です。
【図3】エリスリトール・マンニトール処方の
テクスチャー
※4・・・点数が低い方がべたつきが多いことを意味する
糖アルコールは配合した他の原材料へ悪影響を与え難いことから、ある意味計算できる原料であるといえます。
よって、「商品設計アウトラインを変えたくない!」「テクスチャー違いで複数グレードを商品化したい!」「処方提出の最終段階で微調整して満足した設計にしたい!」など、これらのシーンに糖アルコールを検討してみてはいかがでしょうか。
各種糖アルコールのストーリーや物性に応じて、適した糖アルコールをご選択ください。
ソルビトールとは?
炭素数6の単糖糖アルコール。
グルコース(ブドウ糖)を水添して生成されます。糖アルコールの中でもっとも流通量が多い、汎用性の高い糖アルコールです。
・糖アルコールを使ったことがない
・グリセリンと同程度の価格の原料を探している
・グリセリンよりも少し違う保湿感(しっとり感)を表現したい
以上のシーンなどにご検討いただける原料です。
キシリトールとは?
炭素数5の単糖糖アルコール。
粉末状の原料で、オーラルケア素材としての認知度も高く、コロナ禍においてもキシリトール配合のマスクが発売されるなど、消費者にポジティブな印象を与える素材です。
・ややしっとり系のテクスチャーにしたい
・乾燥後の嫌なべたつきを改善したい
・使用している保湿剤の含量の調整では限界がある・・・
以上のシーンなどにご検討いただける原料です。
※本記事は、化粧品業界の関係者ならびにその関連業務に携わる方を対象に、適正にご利用いただくための情報提供を目的としたものであり、一般消費者の方に対する情報提供を目的としたものではありません。
※製品化の際には、薬機法等の関連法規を遵守ください。
※実験データは測定値の代表例であり、最終製品での効果や安全性を保証するものではありません。
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