毛髪における感触コントロール（ヘアスタイリング）

化粧品

2022.11.28研究・テーマ

製品種類	糖アルコール
用途	ヘアスタイリング剤
特徴	耐水性、うねり補整、テクスチャー調整
製品	アクアオール#1、アクアオール#2

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研究の背景

ヘアスタイルにおける最近のトレンドとしては、自然な仕上がりを求めるニーズが多く、アウトバストリートメントやヘアオイルをスタイリング剤として用いることも増えてきました。糖アルコール（アクアオールシリーズ）をスタイリング剤に使用することで、仕上がりや感触にどんな違いが出るのでしょうか？

スタイリング剤に使用されてきた従来の原料との違いを”感触”に焦点を当てて検証しました。

※アクアオール・・・トウモロコシなどから得られたデンプンを加⽔分解し、さらに⽔素添加することによって得られる
糖アルコールの⼀種であり、植物由来の化粧品専用原料です。詳しくはこちら

試験データ

実験データ①　ヘアミスト・ヘアアイロンを用いた感触評価

【試験方法】

1. 30cm健常毛髪(10g)を予洗い・乾燥させた後、25℃・50%RH条件下で調温調湿して試験用毛髪とした。
2. 糖アルコール（アクアオール#1、アクアオール#2）、PEG-30をそれぞれ固形分3%配合したヘアミストを作成し(表1)、毛束5g

あたり0.6gを塗布してなじませた後、冷風乾燥させた。
3. 直径26mmのカール用ロッドを有するヘアアイロンに毛先を除く中央付近を2回転巻き付け、180℃で8秒間熱を加えてスタイリングを行った。スタイリング後のカールの仕上がりについて官能評価を行った。 (n=3)

【表1】ヘアミスト配合

【図１】ヘアミストを用いたカールの感触評価

【結果】

スタイリング直後の髪の感触を比較すると、アクアオール#1は『滑りの良いカール』に、アクアオール#2は『セット感を感じつつ、やわらかい仕上がりの感触』となることが示されました。

実験データ②　水性ポマードを用いた感触評価

【試験方法】

1. 30cm健常毛髪(10g)を予洗い・乾燥させた後、25℃・50%RH条件下で調温調湿して試験用毛髪とした。
2. 表2の配合で水性ポマードを作成し、毛束10gあたり0.4gを塗布してなじませた後、40℃・2時間乾燥させた。
3. 乾燥後、25℃・50%条件下に戻し、官能評価を行った。 (n=3)

【表２】水性ポマード配合

【図２】水性ポマードを用いた毛髪の感触評価

【結果】

高分子ポリマーの添加により、グリセリン処方におけるべたつきの改善が確認され、一方で、アクアオール#2処方では、べたつきが抑えられ、適度な束感によりセット力の強さを感じる仕上がりとなることが示されました。

このように、アクアオール#2を配合することで、グリセリンや高分子ポリマーのテクスチャーとは異なる感触を発揮することが期待されます。

実験データ③　シリコーン代替の可能性（アウトバストリートメントを用いた感触評価)

【試験方法】

1. 30cm健常毛髪(10g)を予洗い・乾燥させた後、25℃・50%RH条件下で調温調湿して試験用毛髪とした。
2. 表3の配合でアウトバストリートメントを作成し、毛束10gあたり0.5gを塗布してなじませた後、40℃・1時間乾燥させた。
3. 乾燥後、25℃・50%条件下に戻し、官能評価を行った。 (n=3)

【表３】アウトバストリートメント配合

【図３】アウトバストリートメントを用いた毛髪の感触評価

【結果】

シリコーンあり処方は、シリコーンなし処方と比べて、『指通り・滑りの良い軽い仕上がり』が感じられました。一方で、アクアオール#1・シリコーン半量配合処方は、低重合度シリコーン特有の軽い仕上がりは劣るものの、『指通り・まとまりの良さ』が感じられました。
原料価格の高騰や供給面の不安によるシリコーン代替原料として、指通りやまとまり感の改善などの用途に応用できる可能性が期待される結果となりました。

今回、糖アルコール製品であるアクアオールシリーズの整髪性について、ヒトでの官能試験により、セット力や感触について検証を行いました。アクアオールは、ヘアケア商品において、糖アルコールの保湿剤や可塑剤としての従来の用途に留まらず、新しい使い方が出来る可能性を秘めていると考えます。

スタイリング剤の感触調整やヘアケア製品の使用感改善にぜひ一度お試しください。