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昨今、トレンドの移り変わりとともに、ヘアスタイルのトレンドも多様化しています。スタイルを造るためのスタイリング剤も多岐に渡り、ワックス、ジェル、オイルなど、なりたいスタイルやトレンド、髪質に合わせたスタイリング剤を選択することが出来ます。様々な剤型のスタイリング剤が存在するなかで、「手グシが通るナチュラルな仕上がりにしたい」、「スタイルを維持したいが、固めたくない」、「セット力が強いと扱いにくい」といった 『セット力、セット保持力、感触の良さ』 を兼ね備えたスタイリングが求められてきました。
スタイリング剤で汎用されるセット成分には自然由来のものから合成品まで様々なものがありますが、糖アルコールもスタイリング剤として使用されうる原料の1つです。
糖アルコールは、従来から保湿剤や可塑剤としての用途で使用されてきましたが、今回は整髪性について、アクアオールシリーズを用いて検証を行いました。
※アクアオール・・・トウモロコシなどから得られたデンプンを加⽔分解し、さらに⽔素添加することによって得られる
糖アルコールの⼀種であり、植物由来の化粧品専用原料です。詳しくはこちら
実験データ① セット力の比較
【試験方法】
1. 30cm健常毛髪(10g)を予洗いし、乾燥させた後、25℃・50%RH条件下で調温調湿して試験用毛髪とした。(長さ L0)
2. 糖アルコール(アクアオール#1、アクアオール#2、マルビット)、グリセリン、PEG-32、(VP/VA)コポリマーを、それぞれ
固形分1%又は5%配合した水溶液を作成し、毛束10gあたり8gの溶液を塗布してなじませた。
3. 直径25mmのカール用ロッドに毛束を巻き付け、40℃で2時間乾燥させ、ロッドを外した毛束の長さをL1とした。
4. その毛束を25℃・70%RH条件下で保存した。尚、セット力は下記の計算式より算出した。
【セット力】100 – ( L1 ÷ L0 ) × 100
【図1】処理前後の毛髪
【図2】セット力の比較(水処理を1とした相対値)
【結果】
アクアオール#2は水溶性のセット成分である(VP/VA)コポリマーと同様にセット力を有することが示されました(図1,2)。
実験データ② ヘアミストを用いたカール試験
【試験方法】
1. 30cm健常毛髪(10g)を予洗い・乾燥させた後、25℃・50%RH条件下で調温調湿して試験用毛髪とした。(長さ L0)
2. 糖アルコール(アクアオール#1、アクアオール#2、マルビット)、グリセリン、PEG-32を、それぞれ固形分3%配合したヘアミストを作成し、毛束5gあたり0.6gを塗布してなじませた後、冷風乾燥させた。
3. 直径26mmのカール用ロッドを有するヘアアイロンに毛先を除く中央付近を2回転巻き付け、180℃で8秒間熱を加えてスタイリングを行った。(長さ L1)
4. その毛束を25℃・70%RH条件下で保存し、30分後、1時間後の長さを測定してそれぞれL2、L3とした。
尚、セット力ならびにセット保持力は下記の計算式より算出した。
【セット力】100 – ( L1 ÷ L0 ) × 100
【セット保持力】( L0 – Ln ) ÷ ( L0 – L1 ) × 100
【図3】ヘアミストを用いたセット力の比較
【図4】ヘアミストを用いたセット保持力の比較
【結果】
アクアオール#1、アクアオール#2配合のヘアミストを使用した検体は高いセット力を示しました(図3)。
また、高湿度条件下のセット保持力では、1時間後においても50%以上のセット保持力を示し、高いセット力と保持力により、ヘアスタイルの維持につながることが示されました(図4)。
実験データ③ 被膜性の違い
【試験方法】
1. 30cm健常毛髪を予洗いし、乾燥させた後、PVP又はアクアオール#2の固形分2%溶液を塗布して50℃で1時間乾燥させた。
2. 乾燥後の毛髪を目の細かいコームでクシ通しを5回行い、フレーキングの有無をマイクロスコープで観察した(倍率:180倍)。
【図5】毛髪のマイクロスコープ画像 (5回クシ通し後)
【結果】
PVP処理では白っぽいフレーク状の剥離が複数見られたが、アクアオール#2処理では確認されなかった(図5)。
このように、アクアオールはこれまでにあまり知られてこなかった、糖アルコールのスタイリング剤 / 被膜剤としての用途に応用できる可能性があることがわかりました。
新しいセット成分の1つとして、スタイリング剤やメイクアップ品に応用してみてはいかがでしょうか。
ヘアスタイリング剤、メイクアップ品など
✓植物由来原料のセット成分を探していた
✓パリッとした被膜ではなく、セット力がありながらもやわらかい感触のスタイリング剤を作りたい
✓ナチュラル系スタイリング剤でもセット力は維持したい
アクアオール#2
※本記事は、化粧品業界の関係者ならびにその関連業務に携わる方を対象に、適正にご利用いただくための情報提供を目的としたものであり、一般消費者の方に対する情報提供を目的としたものではありません。
※製品化の際には、薬機法等の関連法規を遵守ください。
※実験データは測定値の代表例であり、最終製品での効果や安全性を保証するものではありません。
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