ワキガや足の臭いを抑制!エリスリトールによる体臭原因菌の静菌効果

研究・テーマ
製品種類 糖アルコール
用 途 スキンケアクリーム、洗顔料
特 徴 テクスチャー調整、菌増殖抑制
製 品 エリスリトール

研究の背景

身近な人や街中で人の体臭が気になったことはありますか?汗をかく夏の季節は多くの人が気にしていると思います。
自分の臭いはなかなか気がつきにくいと言われますが、どのような対策をされていますか?

 

通常汗自体には臭いはなく、汗に含まれる糖・皮脂・タンパク質等を皮膚常在菌が分解し、発生した短鎖脂肪酸、イソ吉草酸アルデヒドが臭いの原因物質とされています。一般にデオドラント製品や制汗剤で使用されているものには、臭いを香料でマスキングしたり、汗の量を減らすアプローチがとられています。また、皮膚の常在菌に対しては殺菌剤が使用されることが多いです。

 

炭素数4の糖アルコールであるエリスリトールは「静菌作用」を有します。「静菌作用」は菌を死滅させずに、増殖を阻害することで菌数を一定以下に保つことができます。そのため、菌叢のバランスを壊すことなく、目的の菌に作用させることができます。

 

体臭の原因菌である皮膚常在菌へのエリスリトールの静菌効果を検証しました。

試験データ

実験データ① in vitro試験:体臭原因菌の増殖試験

【試験方法】

1.寒天培地に体臭原因菌を塗布し、37℃で一晩培養した。
2.液体培地(NBRC Medium No.802)に1のプレートからコロニーを取り懸濁し、37℃で一晩振盪培養した。
3.96-wellプレートに2の菌体懸濁液と各種糖アルコール溶液及びスクロース溶液を分注し、30℃で23時間振盪培養した。
  各種糖アルコール溶液及びスクロース溶液は、終濃度5,10,15%となるように調製した。
4.吸光度(OD660)を測定し、菌体濁度とした。

【結果】

Corynebacterium minutissimum(図1-1)とCorynebacterium striatum(図1-2)が腋臭(ワキガ)原因菌として、Staphylococcus epidermidis(図1-3)が足臭原因菌として報告されている。

体臭原因菌3種において、エリスリトールを添加し培養した場合、無添加と比較して菌体濁度が有意に抑制されていることが

わかった。また、他の糖アルコールと比較してもエリスリトールが最も菌の増殖を抑制していた。

 

以上より、エリスリトールは体臭原因菌の増殖を有意に抑制しました。

【図1-1】 Corynebacterium minutissimumの増殖試験

【図1-2】 Corynebacterium striatumの増殖試験

 

【図1-3】 Staphylococcus epidermidisの増殖試験

実験データ② 臨床試験:体臭強度の測定(全身強度)

【試験方法】

1.被検候補者40名から、特に体臭の強い18名を選出し被験者とした。
2.被験者に、入浴後右ワキと左ワキにそれぞれエリスリトール試験品とプラセボ試験品を塗布させた。
 ・エリスリトール試験品(w/v):

  エリスリトール10%/エタノール50%/水40%
 ・プラセボ試験品(w/v):エタノール50%/水50%
3.24時間後に臭気判定士によってワキの臭い強度(全身強度)を測定した(表1)。

【表1】腋の臭気強度(全強度)の尺度

【結果】

エリスリトール群とプラセボ群の臭強度スコアを中央値で比較すると、エリスリトール群のスコアが有意に減少した。

(表2と図2)

 

【表2】臭気判定士による臭強度の測定(全臭強度)

【図2】全臭強度

実験データ③ 臨床試験:体臭強度の測定(臭いの種類別)

【試験方法】

実験データ②と同じ手順にて、24時間後に臭気判定士によってワキの臭いを7種の臭い(Woody臭、Animal臭、尿様臭、乳脂臭、雑巾臭、酸味臭、spicy臭)に分類して評価した(表3)。

 

【表3】腋の臭いの種類(Woody、
Animal、尿様、乳脂、雑巾、酸味、Spicy)
の評価に用いた臭気強度の尺度

【結果】

エリスリトール群とプラセボ群の臭強度スコアを中央値で比較した結果、7項目中6項目において、エリスリトール群のスコアが有意に減少した(表4)。また、被験者18名のスコアを総数で表した結果、すべての項目でエリスリトール群のスコアが下回る結果となった(図3)。

 

よって、臨床試験においてもエリスリトールが体臭を有意に抑制することが明らかになりました。

 

【表4】臭気判定士による臭強度の測定(臭いの種類別)

【図3】臭気強度の総スコア

こんな用途に使えます!

✓全身の臭いケアにお使いいただけます
✓デオドラント剤からボディクリームまで幅広い製剤にお使いいただけます
✓静菌効果による日常使いのケアにおすすめです
✓さっぱりとしたテクスチャーを付与できます

使用している製品

エリスリトール

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※本記事は、化粧品業界の関係者ならびにその関連業務に携わる方を対象に、適正にご利用いただくための情報提供を目的としたものであり、一般消費者の方に対する情報提供を目的としたものではありません。

※製品化の際には、薬機法等の関連法規を遵守ください。

※実験データは測定値の代表例であり、最終製品での効果や安全性を保証するものではありません。

※本研究は、2022年12月開催の第89回SCCJ研究討論会にて発表されました。

 「エリスリトールによる皮膚常在菌への効果」

 牧田玲奈*1)、保坂浩貴*1)、木村雄輝*1)

 1)物産フードサイエンス株式会社

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