【リパーゼ】製パンの物性改良・食感改善

研究・テーマ
製品種類 酵素
用 途 製パン
特 徴 食感、伸展性、ボリュームアップ
製 品 Lipopan Prime、ノバミル10000BG

研究の背景

従来より、パン製品にリパーゼを使用することで、生地物性の改善やパンのボリュームアップといった効果が知られていました。

しかしリパーゼには、パン製品へ添加した際に生成する短鎖脂肪酸を原因とした異臭が生じるといった課題も存在していました。

そこで、パン製品へ添加した際に短鎖脂肪酸を生成が少ない、新規のリパーゼを使用することで、上記課題を解決することが期待できます。

解決方法・データ

パン製造時に新規リパーゼ(製品名:Lipopan prim/リポパンプライム )を使用することで、生地物性・食感・内層等、

さまざまな効果を期待する事ができます!

実験データ①:生地の弾力性向上

 

ドウグラフ試験で生地の弾力性を評価した。

図1で示すように、Lipopan Primeを使用することで、コントロール(無添加区)に比べてピーク時の弾力が向上する事が示された。

【図1】ドウグラフ試験

 

実験データ②:生地の伸展性向上

 

モルダー成型後の生地伸展性を評価した。

伸展性向上に効果のある乳化剤(SSL)と比較したところ、Lipopan Primeのほうが伸展性向上に効果があることが示された。

【図2】生地伸展性比較試験

 

実験データ③:内層(キメ)改善効果

 

製パンの内層を撮影してキメの細かさを評価した。

対象区として、無添加、マルトース生成αアミラーゼ(製品名:ノバミル10000BG)を用いた。

Lipopan Primeを配合することで内層のキメが細かくなった。老化防止効果のあるノバミル10000BGと併用することで、更にキメ細かい内層になることが示された。内層が改善する事により口溶け・歯切れ向上効果も確認できた。

従来、ノバミル10000BGの配合量が多くなるにつれて内層の荒れ、口溶け低減の課題があったが、Lipopan Primeと併用することで課題解決が期待できる。

【図3】パンの内層比較写真

 

実験データ④:ボリューム向上効果

 

ワンローフ型で焼成したパンの写真を撮影して評価した。

Lipopan Primeを配合することで、ボリューム向上効果が確認できた。また、ノバミル10000BGと併用することでさらにボリュームが向上した。

【図4】パンのボリューム比較試験

 

実験データ④:柔らかさ向上効果

 

焼成2日後、4日後のクラムの柔らかさをテクスチャアナライザーで分析・評価した。

Lipopan Primeの配合により2日後、4日後のいずれも酵素無しに比べて柔らかくなることが示された。ノバミル10000BG単体でも柔らかくなるものの、Lipopan Primeとの併用によりさらに柔らかくなった。

すなわち、ノバミル10000BGとLipopan Primeを組み合わせることで、相乗効果が期待できることが示された。

【図5】テクスチャアナライザー試験

 

実験データ④:異臭低減効果

 

従来のリパーゼとLipopan Primeの焼成4日後のブリオッシュの風味を比較した。

官能評価によって比較したところ、Lipopan Primeを使用する事で従来のリパーゼに比べて異臭が低減する事が示された。

従来のリパーゼは短鎖脂肪酸を生成することにより、焼成後の異臭が課題に挙がっていたが、Lipopan Primeは中・長鎖脂肪酸を生成する傾向が強いため、異臭の低減効果が期待できる。

【図6】パンの官能検査

こんな用途に使えます

食パン、菓子パン、総菜パンなどの各種パンアイテム

★Point パン製造時の酵素使用方法

 

【生地への添加】使用方法:小麦粉に投入してよく分散させて使用 
(酵素の対粉添加可能範囲:5~50ppm(推奨添加量2~25ppm))

 

【製パン用改良剤】酵素を予め他の改良剤と混合し製剤化しておくことで、軽量の手間を削減できたり、パン生地に対し均一に添加できるといったメリットがあります。
使用方法:酵素および糖類、油脂、乳化剤、増粘多糖類、食塩、小麦粉、澱粉、アスコルビン酸等の添加剤を予め混合し製パン改良剤として製剤化
(酵素の対粉添加可能範囲:5~50ppm(推奨添加量2~25ppm))

 

【製パン用油脂】酵素を予め油脂と混合しておくことで、軽量の手間を削減できたり、パン生地に対し均一に添加できるといったメリットがあります。
使用方法:酵素および油脂、乳化剤、増粘多糖類、食塩等の添加剤を予め混合し、製パン用油脂として調整
(酵素の対粉添加可能範囲:5~50ppm(推奨添加量2~25ppm))

 

【製パン用プレミックス】酵素を予めプレミックス化しておくことで、軽量の手間を削減できるといったメリットがあります。
使用方法:酵素および糖類、油脂、乳化剤、増粘多糖類、食塩、小麦粉、澱粉、アスコルビン酸等の添加剤を予め混合し、製パン用プレミックスとして調整
(酵素の対粉添加可能範囲:5~50ppm(推奨添加量2~25ppm))

 

他にもさまざまな使い方をご提案できます!詳しくはお問合せください。

使用している製品

・Lipopan Prime(リパーゼ)

・ノバミル10000BG(マルトース生成αアミラーゼ)

※いずれもノボザイムズ社酵素:詳しくはお問い合わせ下さい。

※本記事に記載の実験データは測定値の代表例であり、保証値ではありません。

※本記事は、食品業界の関係者並びに関連する業務に従事している方への情報提供を目的としたものであり、一般消費者の方に対する情報提供を目的としたものではありません。

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