以前の記事にて、食品などにも広く使われている糖アルコールの一種「エリスリトール」に、私たちの皮膚に存在する常在菌のバランスを整える静菌効果があることをご紹介しました。
実はさらなる研究で、この働きが非常に意外な用途に応用できる可能性が見えてきました。
なんと、エリスリトールの静菌効果による皮膚常在菌へのアプローチにより、「蚊」が寄り付きにくくなるというのです。
エリスリトールは、もともと食品やオーラルケア用品などにも使われている安全性の高い素材です。
そのため、「刺激の少ない虫よけ商品をお求めの方でも安心して使える、新しい虫よけアイテムになるのでは?」と大きな期待を寄せています。
今回は、このエリスリトールが持つ驚きの「虫よけ(誘引抑制)効果」について、実際の試験結果を交えながら分かりやすくご紹介します。
「実際に蚊を遠ざけることができるのか」を確かめるため、以下のような試験を実施しました。
【実験方法】
①入浴後、右腕には15%エリスリトールを含む試験品を塗布し、左腕にはコントロール試験品を塗布
②24時間後に20頭の蚊の入ったボックスに両腕を挿入し、蚊の降着数を30秒ごとにカウントすると共に、5分後に吸血された数もカウント(図1)
【図1】実験方法
右腕:コントロール群 左腕:エリスリトール群
【検体】
・エリスリトール群:50%エタノール,15wt% エリスリトール配合,35wt%水
・コントロール群:50%エタノール、50wt%水
【結果】
結果は非常に興味深いものでした。
エリスリトールを塗っていない腕に比べて、エリスリトールを塗った腕は、蚊が肌に止まる回数が見るからに減少したのです(図2)。さらに、5分間箱に腕を入れておいた後の「吸血された数」を比較しても、エリスリトールを塗った腕の方が明確に吸血被害を抑えられていることが実証されました(図3)。
【図2】30秒ごとの降着数
【図3】5分後の吸血数
これらの試験結果から、エリスリトールを肌に塗布することで、蚊を引き寄せにくい効果を付与する傾向があることが分かりました。
殺虫成分や強い刺激を持つ成分を使わずに皮膚の環境を整え、蚊の好む環境そのものを制御するという新しいアプローチで蚊を遠ざけるメカニズムは、これからの多様な時代にも活用していける技術だと考えます。
食品素材でもあるエリスリトールが、肌に優しく安全な「次世代の虫よけアイテム」として私たちの暮らしで活躍する日は、そう遠くないかもしれません。