こちらのコラムは「X線マイクロCTで多孔質食品の内部構造を視覚化・定量化!」の後編です。
前編でも述べたように、パンをはじめとする多孔質食品は、その気泡の構造によって食感が変化します。
「パンを食べる=気泡膜を咀嚼すること※1」と言われるほど、気泡膜の厚さ、気泡の方向性、状態がパンの食感形成のカギであると考えられます。そのため、この気泡構造をいかにコントロールするかが、パンの商品開発における重要な課題となっています。
例えば角型食パンの生地にエスイーPを配合すると、写真(図1)のように内相のきめ細かさが向上します。
つまり、糖の種類を変えることで気泡構造へ影響をもたらし、食感を変化させることができるのです。
【図1】食パンの内相比較写真
今回は、前編でご紹介したX線マイクロCTスキャナーを用いて、エスイーPが角型食パンの気泡構造にもたらす効果を定量的に評価し、比較を行いました。
※1 井上好文「改訂2版 パン入門」日本食糧新聞社,2025,198p
X線スキャン後、二値化処理を行った画像の一部を示します。(図3)
【図3】食パンの内相の二値化処理後画像(黒:空気部分、白:骨格部分)
この画像から、エスイーPを配合した食パンの方が、コントロールよりも気泡が小さいことが確認できます。
そして、二値化画像から解析した結果を示します(図4)。
このグラフでは、コントロール(緑)とエスイーP配合品(赤)について、気泡膜の厚さと気泡径の累積割合を比較しています。
【図4】食パン内相の気泡膜厚・気泡径の累積割合比較
また、一定面積当たりの気泡数はコントロールの約2倍に達しており、エスイーPの配合によって、より細かい気泡構造が形成されていることがわかりました。(イメージ:図5)
【図5】食パンの気泡構造イメージ
このように、X線マイクロCTを用いた評価によって、内部構造の違いを明確化することは、エスイーPがもたらす食パンの「きめ細かさ向上」という効果を裏付ける強い根拠になると感じています。
今回は、エスイーPの角型食パンに対する効果を、X線マイクロCTを用いて構造評価を行いました。その結果、エスイーPを配合することで細かい気泡構造が形成されるという事実を、視覚化・定量化することができました。
今後も当社では、自社製品を活用したアプリケーション開発を推進していくとともに、X線マイクロCTを構造評価ツールとして、活用していきたいと思います。
この取り組みは岐阜大学西津教授のご協力のもと実施いたしました。ホームページはこちら。