X線マイクロCTで多孔質食品の内部構造を視覚化・定量化!(前編)

コラム

X線マイクロCTとは?

食品にとっておいしさは、主に風味と食感で構成されています。

特にクッキーやケーキなど、内部に空気を多く含む食品(多孔質食品)において、食感は構造に大きく影響を受けます。
例えば、内部の空隙(気泡)が多いと軽い口当たり、少ないと重たい口当たりになることは容易に想像できるのではないでしょうか? この「なんとなくわかる」定性的な認識を定量化することが、多孔質食品の構造と食感の評価に繋がります。

気泡は立体的であるため、構造の定量化を行う際、二次元の情報に加え、三次元解析から得られる情報があることによって、複雑な気泡構造を正確に把握することができます。この三次元解析を可能にするのがX線マイクロCTです。

そこで今回は、食パンとドーナツという食感が異なる多孔質食品を例に、X線マイクロCTで三次元解析を実施した結果を一部ご紹介いたします。 

本コラムは前後編でお届けしております。
後編ではX線マイクロCTを用いて当社の糖アルコールのパンに対する効果をご紹介します。

測定・解析方法

X線マイクロCTではサンプルの形状を保ったまま、かつ化学的な処理を必要としない点も、構造解析に適しているといえます。 以下に測定・解析フローを示します。(図1)

【図1】X線マイクロCTの測定・解析フロー

測定機器:Bruker社製 SKYSCAN 1172-GU型 X線マイクロCTスキャナー
(岐阜大学高等研究院科学研究基盤センター 機器分析分野)

食パンとドーナツの構造比較結果

X線スキャン後、二値化処理を行った食パンとドーナツの画像の一部を示します。(図2)

【図2】二値化処理後の画像(黒:空気部分、白:骨格部分)

どちらも多孔質構造を持ちますが、こうしてみると気泡の大きさや数に明確な違いがあることがわかります。
X線マイクロCTから得られる画像は、視覚的に訴えることができるツールでもあるといえます。
次に、二値化画像から解析を実施した結果がこちらです。
食パン(緑)とドーナツ(青)の気泡膜厚・気泡径の存在割合を示しています。(図3)

【図3】食パンとドーナツの気泡膜厚・気泡径の存在割合

さらに、気泡膜厚・気泡径を、それぞれ累積割合のグラフとD50の値でも比較しました。(図4) 
累積割合とは、値が小さい方から順に割合を足したもので、「ある大きさ以下のものが全体の何%を占めるか」を示し、傾向を一目で把握できます。  
またD50とは、累積割合50%の値を示し、そのサンプルの代表値として扱える指標です。  

【図4】食パンとドーナツの気泡膜厚・気泡径の累積割合

これらの結果から、以下のことが明らかになりました。
・気泡膜厚:食パンの方がドーナツよりも薄い
・気泡径:D50では大きな差はないが、ドーナツの方が大きい気泡が存在している

今回用いた2つの試料で比較をすると、食パンはドーナツよりも細かい気泡構造であり、軽い食感であることが推察されます。

このように、平面では見えていない内部全体について定量的な解析データを取得することは、構造評価において有用といえるのではないでしょうか。

まとめ

今回は、X線マイクロCTの多孔質食品への活用方法をご紹介しました!

このようにX線マイクロCTを使えば、多孔質食品の内部構造を視覚化・定量化することで微細な構造差を客観的に評価できます。 後編では、この技術を活用し、当社製品「エスイーP」が食パンの気泡構造に対する効果を明らかにします。



この取り組みは岐阜大学西津教授のご協力のもと実施いたしました。ホームページはこちら。

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