スキンケア化粧品における”水溶性エモリエント剤”としての効果

研究・テーマ
製品種類 糖アルコール
用 途 スキンケアクリーム、洗顔料、ボディウォッシュ、リーブオン化粧品、化粧水、乳液
特 徴 保湿、水溶性
製 品 アクアオール#2

研究の背景

 皮膚からの水分蒸散を抑制する、エモリエント効果のある保湿剤といえば・・・まずは油性成分を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。一方で、糖アルコールや多価アルコールは、「水溶性の保湿剤」というイメージが一般的です。

 

今回は、水溶性原料であるアクアオール(化粧品表示名称:加水分解水添デンプン、水)を用いた試験により、「水溶性エモリエント剤」としての効果の検証を行いました。

 

※アクアオール・・・トウモロコシなどから得られたデンプンを加⽔分解し、さらに⽔素添加することによって得られる
糖アルコールの⼀種であり、植物由来の化粧品専用原料です。詳しくはこちら。

試験データ

実験データ:経皮水分蒸散量の測定

【試験方法】

1. パネリスト4名の前腕内側をハンドソープで洗浄後、

 試験環境下で肌を順化
2. 化粧水(表1)を20μL/9cm²塗布し、

 塗布前後の経皮水分蒸散量(TEWL)を測定

測定機器:Tewameter™ Hex
試験環境:22±3℃、RH50±10%

【表1】化粧水の配合 (w/w%)

 【結果】

 アクアオール未配合のコントロールに比べ、アクアオール#2配合検体で経皮水分蒸散量が抑制されている傾向がみられた。

(図1、図2)

【図1】経皮水分蒸散量の推移(塗布前相対値)

【図2】経皮水分蒸散量(塗布120分後)

まとめ

これまでの研究では、分子量の大きなアクアオール#2そのものには角層水分量を増やす効果がなく1)、保湿効果はあまり期待できないと考えていました。しかし、今回の研究結果から、界面活性剤と共にアクアオール#2を配合することにより、経皮水分蒸散量の抑制が確認されました。

界面活性剤と共に配合する条件において、アクアオール#2は角層に浸透し、そこで「閉塞効果」を発揮することで、角層水分量の増加(data not shown) に寄与するのではないかと考えています。(図3)

以上より、アクアオール#2は水分を閉じ込めることで潤いを保つ 『エモリエント剤』 のような効果が確認できました。
エモリエント剤というと、油性成分が真っ先に思い浮かばれますが、水溶性成分でありながらも、このような効果を発揮する新たな素材となることが期待されます。

 

1) 木村雄輝, 澤桃子, 西尾洋美, 牧田玲奈, フレグランスジャーナル, 12, 65-70 (2022)

【図3】水溶性エモリエント効果 想定メカ二ズム

界面活性剤を配合する処方において、角層にアクアオール#2が浸透し、
そこで「ふた」をすることで水分を保持する役割を担う

※本研究は、学会発表と論文に基づく内容になります。詳細は以下の学会発表/論文をご確認ください。

研究データ等はこちら

植物由来の原料から生まれた化粧品素材 「アクアオール」
化粧水における
感触コントロール(被膜感)
(コラム)もちを乾燥から守る!
アクアオールの被膜特性

※本記事は、化粧品業界の関係者ならびにその関連業務に携わる方を対象に、適正にご利用いただくための情報提供を目的としたものであり、一般消費者の方に対する情報提供を目的としたものではありません。

※製品化の際には、薬機法等の関連法規を遵守ください。

※実験データは測定値の代表例であり、最終製品での効果や安全性を保証するものではありません。

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