日本パン技術研究所 伊賀大八先生インタビュー

コラム

日本パン技術研究所は、昭和24年に農林水産省の認可により設立された社団法人として、 製パン技術の職業教育、パン類の加工技術および品質・栄養に関する研究調査、食品安全衛生の指導・監査等の事業を行い、 製パン技術者の職業能力の開発および向上の促進、パン類を中心とする食品科学技術の振興、食の安全・安心の増進等の事業を行っています。

今回は、製パン技術教育事業部の事業部長として製パン・製菓教育コースの講師を担う伊賀 大八先生に、エスイーPの活用方法についてインタビューいたしました!

 

※エスイーPとは・・・水飴を加工してつくられる糖質の一種である「還元水飴」の粉末タイプ製品

一般社団法人 日本パン技術研究所 

製パン技術教育事業部 事業部長 

伊賀 大八氏

伊賀先生、エスイーPについて教えてください!

他の製パン資材と比較して、
エスイーPの一番の特長は何でしょうか?
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原料として現場での取り扱いが楽で、しかも粉体のため利用できる範囲が広くなります。生地ハンドリングが容易で、手分割でも機械分割でも物性が滑らかです。

伊賀先生、リテイルベーカリー向けのエスイーP活用について教えてください!

パンの種類別に、エスイーPの活用方法を教えてほしいです!
①リッチタイプ(食パン、ブリオッシュ、菓子パン)のパン
②ハードタイプのパン
③折り込み生地タイプのパン
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①リッチタイプのパンには・・・加水増と体積増加が期待できます。また、しっとり感付与や歯切れに加え、その延長線上にある嚥下性についても優れます。

②ハードタイプのパンには・・・こちらも加水増と体積増加、しっとり感付与が期待できます。また、甘味強度の低いリーン系生地でも、糖とエスイーPを一定量の糖置換により、その食感改善効果は歴然とあらわれます。

③折り込み生地タイプのパンには・・・糖とエスイーPを一定量置換することで、ベタつきが少ないにもかかわらず、生地伸展性に優れ、油脂折り込みがスムーズになります。ライン生産の折り込みにも、店舗での少バッチ量での折り込みにも物性改善の効果は大きいです。
折り込み製品の良し悪しは、油脂層と生地層が美しく均質に形成されることで決まるといっても過言ではありません。また、折り込み製品にありがちな引きの強い食感を抑制できるため、食べ口の良い歯切れる折り込み製品になりやすいです。

製造工程別に、エスイーPの活用方法を教えてほしいです!
①ストレート製法
②冷凍生地
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①ストレート製法には・・・ストレート製法における最大の問題点は経時的な生地の物性変化です。糖とエスイーPを一定量置換することで、物性が安定します。また、ストレート製法によるパンは食感が重くなる傾向がありますが、この傾向を緩和し、引きの強くないクラムテクスチャーを得やすいです。

 

②冷凍生地には・・・糖とエスイーPを一定量置換することにより、冷凍生地で問題が出やすい過剰着色が抑制できます。

また、特に成形冷凍生地では、強力度の高い(強い)小麦粉の使用が前提です。その強い小麦粉から作ったパンは食感に引きを感じてしまいがちですが、一定量のエスイーP置換によって、その引きの強さが緩和されたクラムテクスチャーが得られやすいです。

最後に、エスイーPと相性の良い製パンアイテムを教えてほしいです!

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特に菓子パン系と調理パン系の食感改善は顕著だと感じています。歯切れ感としっとり感を両立しながら高度にバランスさせることが重要なアイテムにはおすすめです。上白糖8%以上がベース配合のやや甘味のある食事パンにも向いています。
伊賀先生、ありがとうございました!!
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製パンに対する還元水飴の効果をもっと知りたい方はこちら➡

【製パン開発者向け】パンの製品価値を高める糖素材

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