【製パン開発者向け】パンの製品価値を高める糖素材:糖アルコール

コラム

糖を一部置き換えるだけで、パンをグレードアップ

パンを作るうえで、「しっとりさせたい」「焼き色を抑えたい」「ボリュームを出したい」など様々な課題があります。

このような課題を解決する際は、

①製法 ②小麦粉などの主原料 ③油や乳化剤などの副資材 の順で検討されることが多いです。しかし、③の副資材の中でも、「糖」の角度から解決方法を提案されることはほとんどありません。

そこで、本コラムでは水あめから生まれた糖の仲間「糖アルコール」について、
当社製品「エスイーP」をはじめとする、パンにおすすめの糖アルコールを用いた
解決法をご提案します!
(糖アルコールってなに? という方は⇩の基礎知識をご覧ください)

 

↑糖アルコール(粉末タイプ)
↓糖アルコール(液体タイプ)

糖アルコールの4つの効果 ①ボリュームアップ

パンや菓子類製品においては、見た目・コストダウンの観点からボリュームアップが求められるケースが多くあります。
そんな時も糖アルコールが活用できます!
糖アルコールは、砂糖の置き換えで使用するだけでボリューム向上効果が得られます。(図1)

【適用グレード】エスイーP、エスイー600、エスイー57、エスイー30

【図1】ベーグルのボリュームアップ

糖アルコールの4つの効果 ②生地物性の改良

生地物性の改良剤といっても様々な効果がありますが、糖アルコールは「伸展性」、「冷凍耐性」、「賞味期限」の3つの課題にアプローチできます。

【適用グレード】エスイーP、エスイー600、エスイー57、エスイー30

◆伸展性アップ
冷凍生地やデニッシュのようなシート成形の生地の伸展性が悪いと、生地がちぎれる、成型しづらいといったリスクが存在します。 糖アルコールを砂糖の置き換えで使用することで、伸展性を改善し、作業効率を向上させることができます。(図2)

◆冷凍耐性向上・賞味期限延長
冷凍生地の一般的な賞味期限は3ヵ月であり、超過するとボリュームの減少や食感の低下が起こることが知られています。 そこで、糖アルコールを砂糖の置き換えで使用すると、冷凍生地の劣化を抑制し、冷凍保存期間を最大6ヵ月まで延長できます。

【図2】生地の伸展性向上

糖アルコールの4つの効果 ③空洞化抑制

あんぱんやクリームパンなど、パン生地でフィリングを包み込むパンは、パン生地とフィリングとの間に空洞ができてしまうことがあります。空洞が生じると、パンがつぶれたり、ボリュームが失われたりして、商品価値が低下してしまいます。
しかし、糖アルコールにはフィリングまたはパン生地に配合することで、空洞化を抑制する効果があります。

【適用グレード】エスイー600、エスイー57

【図3】あんぱんの空洞化抑制

糖アルコールの4つの効果 ④食感の改善

糖アルコールは、糖化度の違いによって異なる効果を発揮します。 いずれも柔らかさを向上させることが出来ますが、
糖アルコールの使い分けによってパンの食感をコントロールすることができます。

◆糖化度の低い糖アルコール(粘度が高く、甘さはほぼない):エスイーP、エスイー30など
 ☞柔らかく・しっとりした食感 or サクサク感向上(クロワッサンなど)

◆糖化度の高い糖アルコール(粘度が低く、やや甘い):エスイー600など
 ☞軽く・口溶けの良い食感

【図4】糖化度の低い糖アルコール

【図5】糖化度の高い糖アルコール

※ガラス転移温度:実測値 (Kashiwakura et al. Food Hydrocoll.126, 107467 (2022)を参考に測定)

糖アルコールでパンの課題をまるっと解決!

このように、糖アルコールはパンに対して様々な効果を発揮します。

上記のような課題を解決するために複数の改良剤を併用すると、どうしてもコストが増加してしまうというようなお悩みもあるのではないでしょうか?

糖アルコールであれば、これらの複数の効果を同時に発揮することができるため、「改良剤の併用によるコスト増加」というお悩みにもアプローチすることが可能です!

 

製パンに関するお悩みをお持ちの際は、ぜひ「糖」の角度からもご検討ください!

製パンに対する糖アルコールの効果をもっと知りたい方はこちら➡

【開発ストーリー】パンの品質改良

お問い合わせについて

以下のお問い合わせフォームより、お問い合わせ概要「研究開発サイトへのお問い合わせ」を選択の上、必要事項 ・お問い合わせ内容をご記入ください。